最後の進撃
進撃の巨人最終巻の感想です。
※この記事は作品のネタバレを含みます
【以前の感想記事】
進撃の巨人 第34巻
地鳴らしを発動し虐殺を始めたエレン。リヴァイ達調査兵団はエレンを止めるべく立ち向かうのだが、歴代九つの巨人の大軍を操る巨人軍の圧倒的戦力を前に為す術なく苦戦を強いられる。巨人と人間、エルディアとマーレが入り乱れる混乱の戦場でエレンの真意を知ったミカサの決断が未来の道を切り開くことに・・!
34巻の感想
- 巨人が味方で、敵も巨人で
- 世紀の大悪党の名を背負うエレン
- ミカサの想いが未来を決めた
調査兵団&マーレ残党vsエレン&巨人たち
巨人も人も、マーレ軍も調査兵団も入り乱れての大乱闘。地上で立体起動を駆使して展開する戦闘が多かった本作の最終決戦が空中戦というのは・・(;・∀・)
しかも巨人が飛んじゃってるし(笑)
歴代巨人継承者を全員具現化して操れるとかもうエレン止めるのムリゲーすぎますよね・・。強敵の復活はロックマンラスボスダンジョンみがある。
なので、ベルトルトやガリアード、ユミルなど巨人達大復活で戦場は巨人オールスターズになってます( ´艸`)
エレンの真意
調査兵団&マーレ残党軍の戦力はミカサ・コニ・ジャンの立体起動組とライナー(鎧)・ピーク(車力)の巨人組、あとは負傷したリヴァイ・・もうかつての面影もないしょぼしょぼの陣営。アルミンはサクッと敵に捕らえられて武力的にも戦術的にも核を失ってる状態で巨人オールスターと戦わないといけないこの悲壮感(;・∀・)
誰一人として勝てると思って戦ってないところが・・泣ける・・
劣勢だった調査兵団&マーレ残党軍の窮地を救ったのは、アニ(女型)とファルコ(顎)の加勢とベルトルトやガリアード、ユミルなど縁のあった巨人たちの助力、そして『道』の中でアルミンがジークを説得した事が重なりエレンを地上へ引きずりおろし始祖ユミルもろとも倒した!・・かに見えましたが進撃はここで終わらない。
戦いが終わり(ったように見え)、エルディアとマーレの人種に関係なく事態の鎮静化に喜ぶ人々を絶望に突き落とす始祖ユミルの煙。
・・ここでまさかの全員巨人化!!
生き残ったコニやジャン、ガビがあっさりと巨人化し煙の影響を受けない巨人組やミカサ・リヴァイを襲ってくる悪夢の展開・・
ミカサの選択
そんな阿鼻叫喚な地獄絵図の中で、エレンの真意に触れたミカサとアルミン。ミカサの腹は決まり単身エレンの体内へ乗り込んで介錯。
全世界の悪意を一人で背負い込んだエレン、そして仲間たちがそんな自分を討つことで人種の壁を超えて世界から英雄視されるであろうと考えていた彼の想いに応える形でこの土壇場でミカサが覚悟を決めたんですが・・もうこの子はほんまかっこよすぎますね。決めるところはいつもばちっと決めるクールビューティー。
『愛する者を、愛を信じて殺せるか』
ですね。
そしてエレンのこの一人負けのやり口はコードギアスでルルーシュが行った『ゼロレクイエム』そのもの。きちんと報いを受けてエレンは世界から退場し、巨人の呪いも解き事態は収束しますが、『ゼロレクイエム』と異なるのは、世界から戦いは無くなっていないという点。
この作品、当初から「人と巨人」、「マーレとエルディア」、と相いれないもの同士の戦いを描いてきました。生きるという事は戦うという事だと最後まで一貫して主張しています。巨人がいようがいまいが、人は自分とは違うものとは争わずにはいられない。このあたりをキレイごとで終わらせない辺りが諌山先生らしいなあと思いました。人の作る世界は争い事やエレンが見せた仲間達への想いなど、いろんな要素で成り立っているんだと。やっぱり世界は残酷だけど美しい・・。
まとめ
2013年のアニメ化をきっかけに爆発的なブームを起こした『進撃の巨人』がついに完結。衝撃的な設定と展開、巨人を倒すために戦ってきた主人公が終盤は巨人を引き連れ人の大虐殺に走るという目を覆いたくなるような話に転換しましたが、振りあげた拳はきちんと降ろしきり、変に大団円にしたりエレンが許されたりはしてません。
一時代を築いた名作の終わりを見届けることが出来たことを嬉しく思います。諌山先生、約12年に渡る連載お疲れさまでした。