サブカル国道二号線

ー Subculture National Highway Route 2 ー

除菌と消毒の違いとは!?『消毒』についての基礎的なお話。

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今回は新型コロナによって世間の注目度がうなぎ上りの『消毒』についてのお話。

 

   

 

今、巷では『滅菌』『消毒』などの紛らわしい表記が溢れかえってますよね!?「ややこしいなぁ」・「何が違うんやろ?」って思ったことないですか?

 

現在よく使われている紛らわしい表記、その違いを説明していきます。

 

内容はどの医療職でも必ず習う公衆衛生の基礎的なものになります。基礎ですが、感染のリスクの高い医療職が備えておくべき知識であり得られるものは多い中身かなと自負してます。

 

 

筆者は感染症の専門家ではありません。ディープな話は出来ませんのであしからず。

 

記事を読んで「こうやって定義されてるんやー」と思ってもらえれば・・。

 

 

現在の新型コロナ感染予防策

厚生労働省が新型コロナ感染対策として提唱しているのは、手洗いうがいと手指消毒の徹底。使用する薬剤は「アルコール」「次亜塩素酸ナトリウム」

 

ではなぜこれらを主唱するのかをこれから解説していきますね。 

 

手洗いの必要性

医療現場では手は最も様々な部分と接触する器官であり手洗いの敢行は常日頃口酸っぱく言われています。

 

流水で手洗いする事で物理的に菌を除去し石鹸で科学的に除去が可能です。その後にアルコール消毒へ・・というのが推奨される流れ。

 

「最初からアルコールでもいいのでは?」

 

と疑問に思われるかもしれませんが、アルコールは物理的に菌を排除するものではありません。流水での手洗いとアルコール消毒では役割が異なるため流水での手洗いとアルコール消毒はセットになってます。(消毒などの専門用語については後で解説)

 

ちなみに、私が在籍する病院では自分の手洗いがきちんとできているかを確認するために定期的にチェックが入ります。手のどこに菌が残りやすいか(洗い残し)をいつも蛍光塗料とブラックライトを使って視覚的に把握するのですが・・

 

・指と指の間

・親指の付け根

・手首

・爪先

 

の4ポイントが残りやすい傾向にあります。

これからはこの辺りを意識的に流水と石鹸で洗ってもらうと今までよりも効果的な手洗いができるかなと(*´▽`*)

 

気になるデマ

私がSNSなどで流れてくるデマで特に気になったのが『滅菌マスク』

 

滅菌ガーゼをマスクの内側に入れたら・・最強!!って何故か成り立っちゃう図式のやつです。

 

『滅菌』については次の項目で詳しく説明しますが・・

滅菌物は手で触った時点で『滅菌』状態では無くなります。何故かというと手はどれだけ洗っても消毒しても無菌にはならないからです。ヒトの皮膚には常在菌という無数の菌が存在しており、そんな手で滅菌物を触れば汚染されてしまうのは当たり前・・

 

という事は・・

 

滅菌ガーゼをマスクに組み込んだとて無菌にはなりません(笑)

 

テレビの医療ドラマなどで手術シーンが描かれますよね?止血のために術野で使っているのが滅菌ガーゼですが、それを扱う執刀医は必ずガウンを着て滅菌手袋をはめて扱っています。滅菌物を無菌状態のままで扱いたいならそこまでしないとダメなのです。

 

 

・・っと、前置きが長くなりましたが、続いて専門用語を解説します。

 

   

 

消毒関連の専門用語を解説

洗浄

「表面上の菌や毒素を物理的に除去」

 

と定義されてます。

 

例えば、「食べ残しのあるお皿」を想像してください。油汚れを落とす前に皿の上に残った食べ残しは物理的にゴミ箱へ排除しますよね?『洗浄』とはそういうことです。消毒や滅菌への前段階。

 

除菌

除菌シートなどの商品があるので日常よく目にする言葉ですね。

 

「物理的、化学的、生理化学的作用により増殖可能な細菌数を減少させる」と定義されてます。難しく書いてますが、要は「菌を減らす」のが『除菌』の効果。

 

「え、減らすだけ?」

と思っちゃいますよね?

そうなんです。

減らすだけ。

 

どれだけ減らせるかなどは定義づけされていません。流水での手洗いは物理的な除菌にあたります。・・一気に『除菌』って言葉に凄さを感じなくなってきましたよね(笑)

 

しかし、中には『消毒』『殺菌』の効果を持ちながら『除菌』と表記している商品もあります。これは『薬事法』という法律の絡みでそう表現せざるを得ないようで・・。キッチンハイターや洗剤など雑貨品がこれに当たります。

 

殺菌

後述する『消毒』とは似て非なる。

字面からして強そうな用語ですが、その通りで「菌を殺す」効果を持ちます。しかし殺せる菌の種類や量については明確に定義されていない結構曖昧な用語。

 

こちらは『除菌』とは逆に薬事法の対象になる医薬品にのみ許された表記になります。殺菌効果はあってもキッチンハイターでは『殺菌』とは表記できない。

 

・・うーん、ややこしい(;・∀・)

 

消毒

手指消毒など、除菌とともに日常で使われる事が多い言葉ですね。

 

「病原性のある微生物を死滅・除去させて害の無い状態にする」と定義されてます。『殺菌』と何が違うのか?というと『消毒』の目的は「菌の無毒化」

 

菌を無毒化し害の無い状態にする、必ずしも死滅させる事は求められていません。菌の命までは奪わない・・峰打ちのような感じです(笑)

 

この用語も『殺菌』と同じで医薬品などにしか使えない表記です。

 

『消毒』と聞いて思い浮かぶのはアルコールやイソジンなどの薬剤消毒ですが、他にもお湯で菌を無力化する煮沸や、日光照射なども『消毒』に当たります。

 

ちなみにアルコールは飲料用の3%や5%、ストロングでも9%の濃度ですがこれでは到底消毒にはなりません。アルコールが消毒効果を最も発揮するのは70%~80%。

 

濃過ぎてもダメですし、もったいないからと消毒用アルコールを水で薄めればその効力は十分に発揮されずかえって逆効果に・・。

 

アルコールは、塗布した瞬間ではなく蒸発するタイミングで消毒されるので乾ききるまではそのまま置いておく事をオススメします。

 

 

『消毒』に関しては、この後その種類についても解説しますね。

 

滅菌

「すべての菌を死滅、除去する」

と定義されてます。最強。

 

菌を滅すると書いてますからね。

強そう・・(小並感)

 

菌を滅する刃と書いて『菌滅の刃』

消毒の呼吸・十一ノ型『滅菌』・・!

(この記事、実はこれ書きたかっただけ…笑)

 

放射線とか電磁波、ヤバいガスとかを使わないと滅菌は出来ずかなり大掛かりな装置が必要です。

 

   

 

消毒の種類

『消毒』には使用する用途に応じて大きく3つの分類があります。

 

・高水準消毒

・中水準消毒

・低水準消毒

 

現在高水準に分類されている消毒薬は3種類のみ。その用途は手術用器具の消毒といったかなりクリティカルなもの。故に消毒力はかなり強力ですが、手指消毒などで人に使うのにはリスクが高すぎて不向き・・。

 

そのため、広範囲の菌やウィルスに消毒力を発揮できなおかつ人の皮膚などにも使用が可能な使いやすさも兼ね備えたアルコールがよく使用されるわけです。日常的な使いやすさと効力とデメリットの少なさのバランスが絶妙なんですよね。ちなみにアルコールの分類は中水準。

 

あともう一つ、新型コロナ感染予防で挙げられる消毒薬が次亜塩素酸ナトリウム。これは高濃度で使うと皮膚に刺激を与えますが、水で薄めることでテーブルなどの消毒や、塗布による環境の消毒に使用が可能。次亜塩素酸ナトリウムの代表的なものにキッチンハイターがあります。こちらも中水準消毒薬でありアルコールよりもその消毒力は上。中水準最強の名は伊達じゃない・・!ただし日光(紫外線)にあたると反応して効力が薄まっていくので注意。

 

新型コロナの感染の仕方

これはおまけというか、今更感のある内容ですが・・

 

感染症には感染の仕方が決まっています。新型コロナの場合は『飛沫感染』『接触感染』と言われています。

 

『接触感染』は読んで字のごとく、ウィルスが付着した物に触れることで感染すること。電車のつり革とかドアノブとか公共の場ほどその危険性は増します・・。

 

『飛沫感染』は咳やくしゃみによって体内から排出されたウィルスが空気中を漂い、それを吸い込む事で感染する経路です。インフルエンザもこれに当たりますね。細かい粒子が大気中を自由自在に舞っている・・

 

可視化できたら恐ろしい光景(;・∀・)

 

『空気感染』との違いは、粒子の大きさになります。空気感染の方が粒子が大きく重たいため遠くへ飛散できませんが、新型コロナは遠くへ飛べちゃいます。なので人と人の距離を2mは離せとか大声で喋るのを控えるようにするのが対策になります。空気感染の代表例は結核ですね。

 

まとめ

最初は5分ほどで読める記事にするつもりでしたが・・気が付けば長文に(笑)。学生時代の教科書を引っ張り出してきて記事作成をしました。懐かしさと自分の記憶力の無さに苦笑いしながら、改めて消毒について自分も勉強でき貴重な経験が出来ましたね。

 

ECMO記事の時と違って暗い話は一切なしのタメになる系医療記事に仕立ててみました。この記事を読んでいただいた方のお役に立てれば幸いです・・!

 

要約すると・・

『除菌』→菌を減らす

『殺菌』→菌を殺す

『消毒』→菌を無力化

『滅菌』→菌を滅する

 

除菌も殺菌も消毒も滅菌もみんな違ってみんないい・・( ´艸`)

 

新型コロナウィルスには特効薬もワクチンも現段階では存在しないので、予防が非常に大切。適切な手洗いと消毒を実施しコロナショックを乗り越えましょうヽ(´▽`)/

 

みなさん、泡麦茶など気分の良くなる飲み物を摂取して喉のアルコール消毒は欠かさないようにしてくださいね!

 

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