サブカル国道二号線

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呼吸状態を視覚化!体内の酸素を数値化する『パルスオキシメータ』について現役臨床工学技士が解説します。

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新型コロナ肺炎の蔓延によって呼吸困難や呼吸苦、酸素投与といったワードが飛び交っていますが、こういった呼吸状態を管理する指標について今回は書いていきますね。

 

知ってればちょっとした雑学として周りにドヤ顔できる内容にしました。

 

   

 

『呼吸』が必要な理由

これは小学生の理科で習う内容なので、わざわざ書く必要もない部分ですが・・

 

『細胞へ酸素を供給するため』ですよね。

 

細胞まで酸素を運搬するには赤血球が必要ですし、その赤血球を巡らせるために『循環』が不可欠。

 

酸素と引き換えに二酸化炭素をもらった赤血球が、今度は肺でまた新しい酸素をもらう・・これがガス交換つまり『呼吸』です。

 

物資を調達するのが呼吸で、物資を運ぶのが循環。この2つは密接な関係にあり、この2つを機械で同時に代替できるのがECMO(体外式膜型人工肺)になるわけです。

 

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呼吸ができなければ、当然酸素を取り込むことが出来ず死を迎えます。大事ですよね、呼吸。様々な漫画で作中に不可欠な要素としても取り上げられているぐらいですからね、呼吸。・・って私が知ってる作品で呼吸という単語を使ってるのは『ジョジョ』『鬼滅』ぐらいですけど(笑) 

 

この循環と呼吸については『はたらく細胞』が詳しくわかりやすく教えてくれてます。もっと知りたい方はぜひご参考に。

 

 

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 呼吸と循環をテーマにした話はこの辺りですね。

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酸素が足りなくなる状態

では、呼吸ができない(酸素が足りない)とはどういった状況か?

 

息をこらえる・・これも酸素不足ですね。これは意図的に自分で行える酸素が足りない状態を体感する手段です。

 

首を絞められるなどもありますが、ケガや意図的なものを除外して、病的な意味合いでは『呼吸器疾患』が酸素不足の要因になります。

 

今、大流行中の新型コロナウィルスによる肺炎や肺に水が溜まってしまう肺水腫、気管支喘息など・・。

 

肺や気管など呼吸を司る器官の病気に陥れば呼吸は不安定になります。

 

酸素不足を解消するには・・?

不安定な呼吸による酸素不足の解消には、その状態によっていくつか段階を経た治療があります。

 

究極の治療は今話題のECMO。肺の機能を全て機械に頼るものです。ECMO導入にまでは至らないけど重篤な呼吸機能の低下には人工呼吸器を使用します。

 

人工呼吸器が出来るのは高濃度の酸素の投与換気(ガス交換)の代行。肺を休ませるECMOと違い、機械で設定した呼吸を肺に行わせるのが人工呼吸器での治療です。呼吸機能が落ちた呼吸器疾患だけではなく、機械無くしては呼吸が出来ない神経疾患にも用います。

 

人工呼吸器を使うまでもないけど、「酸素足りないなぁ・・」という人には酸素療法を行います。鼻にチューブを引っ付けて使うやつです。『ONEPIECE』の白ひげとか最近だと元阪神タイガースの片岡さんがやってたアレ。空気中の酸素濃度だけでは足りない状態に使用します。大気中の酸素の濃度は約21%しかなく残りのほとんどは窒素。その21%の濃度では体内の酸素化が十分にできないほど肺が悪くなってるという事ですね。

 

つまりガス交換の場(肺)が侵されているという状況です。肺炎なら炎症が及んでいる範囲は使い物になってないということ。

 

酸素の投与は、人工呼吸器を使えば濃度を100%まで上げる事が可能です。鼻にチューブを引っ付けたりする酸素療法では投与できる濃度に限界があったりしますが・・この辺りはマニアックになるので今回は割愛。

 

需要があればいつかやります(;・∀・)

 

体内の酸素動態も語りだすとかなり長くなるしコアな話になるので端折ります。あくまで今回は次に話す『パルスオキシメータ』がメインなので・・(笑)

 

※ほんとは体の中の酸素含有量ってヘモグロビンの量や大気圧などによっても左右される複雑なものなんです・・。

 

ちなみに、酸素は高濃度過ぎると体に毒なのでバランスが重要。酸素の過不足を判断するためのモニタリングが重要なんです。

 

 

 

体内の酸素を評価する

では、体内の酸素が足りているかどうかを判断する指標は何なのか・・?

 

全身へ酸素を供給する動脈に含まれている酸素を評価すればいいのですが・・、動脈って針刺すの大変だし、そもそも針を刺せる職種が限られるし、で急変時などでなければ動脈穿刺での評価は現実的ではない・・

 

ということで、体内の酸素を簡単に数値化できる機械が日常使われているのです。

 

やっと本題(笑)

『パルスオキシメータ』の登場です。

 

パルスオキシメータ

この機械は病院で最も使われている医療機器の一つです。指につけるだけで体内の酸素を数値化してくれる優れた機械であり、診療に欠かせないモニタリング項目。

 

監視しているのは

『動脈血中酸素飽和度(SpO2)』

 

動脈にどれだけ酸素があるか?

を見ています。

 

ちなみに、日本人が開発した機器です。世界に誇れる大発明(*´▽`*)

 

 

原理 

酸素と引っ付いているヘモグロビンか酸素と引っ付いていないヘモグロビンかを光で見分ける→酸素飽和度(酸素を持っているヘモグロビンの割合)を数値化

 

動脈だけを数値化したいので拍動成分している脈波のみ抽出→動脈血のみ数値化

 

さくっと書いてますけど、動脈の中の酸素状態を指先から光を当てるだけで数値化できるってめちゃくちゃすごいんですよこれ!だって患者さんは針刺さないで、痛い思いをしないで済むんですからね(*´▽`*)

 

利点

指先に赤い光を当てるだけ! なので、痛くない!簡単!すぐ値が出る!とデメリットなく指標が描出できるのが素晴らしいです。

 

脈波を見ているので、脈拍数の把握やリズムが乱れる簡単な不整脈の発見も可能!

 

そして、安価なものだと1,2万円程度で買える手軽さも素晴らしい!

 

病院で使用しているものと同じものがAmazonで簡単に購入できます。ちなみに私が写真で使っている指先プローブは病院への卸価格で6万円もします(笑)。複数個発注するのに伝票書く時結構緊張する値段。価値を知らない看護師さんは結構雑に扱ってますね・・(;・∀・)

 

実際の使用例

指先にプローブをつけた使用例

モニタへの描出

息こらえした時の値

こんな感じ。

実際に私の指を使って、私の動脈血中酸素飽和度を計っています。数値は%で表され、正常では100-92%ぐらいの値で推移します。 息止めを限界までしても私は94%までしか下がりませんでした。

 

90%を下回ると危険水域に入ります。・・90%って響き、良い値に思えますけどここまで下がると相当ヤバい状態。動脈血中酸素飽和度が90%の時、呼吸不全と定義されるレベルまで動脈血中の酸素が足りなくなっているからです。

 

ちなみに、私は喘息持ちの母にパルスオキシメータを持たせてますね。ただの倦怠感なのか喘息発作で気管が狭くなってるかSpO2で判断させるためです。

 

まとめ

今回は体内の酸素を数値化する『パルスオキシメータ』を取り上げました。新型コロナはPCR陽性にならなければ確定は出来ませんが、倦怠感が出た時にパルスオキシメータを使って体内が酸素不足に陥っているかどうか早い段階で判断ができるのは有用だと考えます。酸素が足りてないという事は、すなわち呼吸が上手くできない状態にあると早期に把握できるので肺炎を疑って行動を取ることが出来ますからね。

 

新型コロナ肺炎の蔓延を機にやってきた医療雑学シリーズですが、とりあえず今回でいったん終わりにしようかなと思います。

 

・・もうネタがない(;・∀・)

 

呼吸や循環も専門ですが、普段従事しているのは人工透析をはじめとする血液浄化とペースメーカなどの心臓デバイス、カテーテル治療がメインなので・・

 

需要があれば血液浄化や不整脈治療も取りあげますが・・無さそう(笑)