八軒の挑戦は終わらない・・!
銀の匙最終巻の感想です。
※この記事は作品のネタバレを含みます
銀の匙 第15巻(最終巻)
迫る大学受験。やりたいことを見つけそれを実現するために八軒は勉学に励む。そして訪れるエゾノーとの別れ・・。
- 八軒、大学受験する
- エゾノー卒業
- 夢への挑戦は終わらない
『銀の匙』とは・・?
2011年から8年間週刊少年サンデーで連載。二度アニメ化され実写映画化もされた作品。作者は『鋼の錬金術師』で一世を風靡した荒川弘先生。本作は青春農業マンガでありダークファンタジーであるハガレンとはジャンルが大きく変わっております。
ハガレンでも定評のあったキャラ同士のコミカルなやり取りを『銀の匙』でも存分に発揮しつつ、本作は農業を通して描かれる成長がメインテーマ。
『銀の匙』の主人公である八軒は農業未経験で、知識もゼロからの農業高校ライフをスタートさせてます。何もない所から積み重ねて成長していく八軒は、失ったものを取り戻す強くてかっこいい主人公だったハガレンのエドとは対称的。
第15巻の感想
八軒が大学受験にのぞむ展開がメイン。そしてそのあとに描かれるエゾノー卒業と卒業後の進路・・。大学編をやったりそれぞれのキャラのその後を描いたりと話は無限に広げられそうだけども、あとは読者の想像に任せる・・といったいい塩梅の締め方だったと思います。
八軒のエゾノーで過ごした三年間の集大成ともいえる最終巻。受験失敗と親の圧力、学力競争から逃げてしまった以前とは違って、目的のために受験勉強に励む八軒の成長がきちんと描かれていて、その姿を第1巻から追ってきてるので思わずジーンとしてしまいました。
そして、苦手だった父との雪解け。
これもきちんと描いてほしいテーマでした。実は似た者同士だったり、不器用だけど素直に言葉を伝える父の姿だったり・・、分かりやすいけど安易な展開にしていないのはさすがだなあと思いました。このあたりはハガレンでのエドとホーエンハイムのやり取りが少し頭をよぎりました。
最後はエゾノーを去ってしまった駒場との再会。彼のその後も気になっていたのでちゃんとフォローされていて安心しました。
銀の匙によせて
8年間の連載でしたが、ご家族の療養をしながらの連載となってからの後半4年は不定期連載でした。ハガレン連載時ほとんど休載される事の無かった荒川弘先生ですから、連載し続ける事へかける想いは人一倍強かったはず・・。
なんとか無事に完結までたどり着いたことに、一ファンとして嬉しい気持ちと共に感謝を申し上げたいです。
先生自身が農業高校出身という事で中身にはリアリティがあり、コミカルに描くことで楽しく知識を学ぶことも出来ました。また、『命を食べる』という事を理解する大切さを教えてくれた作品でもありました。マンガだからこそ伝わる事伝えられる事があると思うので、食育にぜひ活用していただきたい作品。もちろん、私は子供がマンガを読めるようになったらこの作品を読ませるつもりです。
楽しく笑いながらそして勉強させてもらいながら読ませていただいた『銀の匙』。荒川弘先生、連載お疲れ様でした。
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